2020/06/06
運命を決めたカレーライス
19歳でコック見習いになるが毎日皿洗いの日々、修行は厳しく朝早くから夜遅くまでの長い労働時間、忙しくなると怒声が飛び交い調理場はまるで戦場のようだった。モンターニュー(睦クラブ)は世界でも有名な造船会社の接待施設である、大切な儀式のパーテイ料理の仕込みは徹夜仕事する場合も多い、3日程の徹夜も度々で気力勝負だった。パーテイ料理の準備も大変であるが後かたずけも大変である、膨大な洗い物はコック見習いの仕事で当時は現在のような食器洗浄機など無く何時間もかかりました。
料理用語はすべてフランス語でありさっぱり理解できない、日々重い斧を振り回し大鋸で大木を切り倒したターザン(野蛮人)には包丁使いが難しい、山仕事とは違うぞ力は不要だと先輩達に笑られた。熊野の山奥育ちのターザン(野蛮人)には無理な世界だと思った、体力だけの不器用な私には肉体労働が合っている、辞めようと思ったが昼食のカレーライスを食べもう少し頑張ろうと思い直しました。
その日は進水式のパーテイがあり昼食は3時過ぎでした、賄いはカレーライスで先日の昼食メニューの残りを食べましたがその味に感動しました一口食べて美味しいと思った、恩師が私にいくらでも食べていいぞと笑った、大盛で3杯食べた私を見てモンターニュー(睦クラブ)のカレーの味を忘れるなよと笑った。いつかお前にも作り方を教えてやるよと恩師が言った、お前は大器晩成型かも知れないぞ、頑張れ努力に勝る天才は無い、焦らずに継続が大切だと諭されました。
恩師の言葉
覚える事は山の如く会得するべき技術も多い、練習と勉強あるのみ頭が悪く不器用だった私だが、いつの間にか料理の魅力を知り美味しい料理を作りたいと思い始めました。無事これ名馬なり、恩師は不器用な私を何時も励ましてくれた、料理人は健康が大切だと趣味のボディビルを指導されました、それは私の人生にとって大切な財産になりました。
先日来店された大好きなお客様と想い出のカレーの話をしました、お客様は食べてみたいなあーと言いましたが、私は暫く作ってないですから現在は自信がありませんと答えました。私の修行時代と比べ市販のカレールーの味は各段と美味しくなっています、私の作るカレーより美味しいと思いますよ、味の好みは個人により違いますからと説明しました。
でも久し振りに作ってみます、もし美味しく出来れば連絡しますよ、お口に合えば嬉しいですと笑った、きっと美味しいよ楽しみに待っているねとお客様も微笑みました。コロナウイルスによる影響を受けた当店を心配して何度も来店して頂いた、美味しいカレーを仕込み恩義に報いたいと思います、恩師の教えと優しい鬼の笑顔を偲びながら頑張ろうと決意しました。。
母さんのカレーライス
カレーライスは家庭の味が一番美味しいと思う、私にとっては母のカレーライスが最高であった、ジャガイモと玉ねぎ、人参、鯨肉をハウス印度カレーのルーで煮込んだカレーライスが大好きでした、洋次(私)夕食はカレーだよ母が微笑むと嬉しかった、カレーライスには郷愁があり母のカレーライスの味が今でも心に残っています。
頼もしき相棒
日々厳しい商いでございますが(舌に残る想い出つくり)は料理人の夢です、飲食業は素晴らしい職業だと思う、苦労をかけている妻は調理師学校先生の経験もあり有名料理人の料理や味に精通、不器用で未熟者の私にとって頼もしい調理場の相棒でもあり感謝しています、しかし山奥育ちのターザン(野蛮人)は素直に有難うと言えません。笑。