料理人になったターザン、紀州犬シロとの別れ、相生の野犬達

紀州犬シロ

中学卒業後バス会社に就職したが!不良達相手に喧嘩の日々!将来に不安を感じバス会社を辞めた!寮を出て故郷に帰る日に異様な光景を見た。寮長の趣味は猪猟であり猟犬を飼っていた!その猟犬を草原に繋ぎ猟銃で狙っていた!私が止めると馬鹿犬は不要だ!撃ち殺すと怒っている。寮長は酒に酔っていた!訳は判らないが殺すのなら俺が貰うと言った!名前はシロで立派な紀州犬だ!以前よりシロと私は仲良しだった。私はシロを貰い故郷に連れて帰り!父と山仕事をしたが!父が病気になり!私はシロを連れて仕事場に通った。シロの仕事は山猿達から弁当を守る役目だ!シロは稀に猪を噛み殺した!紀州犬は気が荒く仲間の猟犬達を噛み殺す場合もある。多分シロも他の猟犬達を咬み殺したかも知れない!紀州犬は群れを嫌い!大猪にも立ち向かい大怪我を負う!父がシロとお前は同じ仲間だと笑っていた。

シロとの悲しい別れ

私が名古屋に旅立つ朝だった!そわそわしているシロを繋ぎ元気でいろよ!さようならと別れを告げた!シロも辛そうに私を見た。山仕事で登った故郷の山々や!鮎や鰻を捕った赤木川!両親や兄弟、愛犬のシロに別れを告げながらバスを待った。バスが走りだし私はふと後ろを見た!繋いで置いたシロが必死でバスを追って来る!私は涙声で別れを告げた。やがてシロの姿が消えた!悲しい愛犬との別れでした!名古屋に着き母に電話したがシロは戻っていないそうである。翌日電話するとシロが戻ったそうだ!母にシロの世話をお願いした!母は泣きながら心配せんで良いよ!お前も頑張れよと励ましてくれました。

大恩人の伊佐治社長

名古屋に出て兄と鉄工所で働いた!兄が辞めて鳴海のガソリンスタンドに行った!兄は勝手だ私を鉄工所に誘いながら去った。不義理をした兄のせいで私は鉄工所を止めた!行先が無く兄の働くガソリンスタンドに行った。社長の伊佐治様は神様のような人でした!奥様も優しく息子の様に可愛がって頂いた!私もガソリンスタンドで働くがガソリン臭が苦手だった。支店を出す計画があり君に支店を任すと言われた!私は訳を話し断ったが!伊佐治社長にどんな仕事がしたいかと問われた。伊佐治社長は講道館柔道5段で物凄い体格だ!穏やかな性格で年齢は60歳を過ぎている!柔道の鬼で有名な鬼の木村と対戦したらしい。日本刀が置かれた和室に呼ばれた!言葉は優しいが眼光は鋭い!潰れた耳と大きな拳!幾多の修羅場体験から私は社長に怖さを感じた。

犬捕りに捕まったシロ

私は何も考えずに料理人になりたいと答えた!それならば俺が世話してやるとフランス料理店、モンターニュー(睦クラブ)を紹介されました。伊佐治社長は時々睦クラブを訪れた!私は頑張れよと励まして頂き!帰りには必ず1万円を頂いた。皿洗いの給料は7千円だったから嬉しくて涙が出ました!名古屋に出て2年経ちコック見習いにも馴れた!正月休みを頂き故郷に戻ったがシロの姿が見えない!犬取りに捕まったと父が寂しく詫びた。首輪をしていたが放し飼いにしていたらしい!返してくれと交渉したが駄目だった!立派な紀州犬なので相手が欲しかったのだろう。シロは家より遠い学校に一人通う妹の護衛をしていた!山道では稀に手負いの猪が人を襲う事件があった。学校で捕まったらしい!先生達が懇願しても駄目だった。父の話を聞きながら腹が立った!何もかも叩き壊したい心境になった!もし犬捕りを見つけたら容赦なく殴り殺しただろう。昭和時代は野犬が多くその被害も多かった!しかし彼らには罪が無いと思う!罪は彼らを捨てた人間達にある。野良猫も野良犬も必死に生きている!人間達の様に欲望も無い!まして仲間同士で殺し合いなどしない!彼らは食べるだけで良いのです。

相生市

船の料理人時代に仕事で兵庫県の相生̪市に行った!相生市には石川島播磨重工の造船所がある!瀬戸内海の沿岸にある長閑な地方でした。年に2回ほど回航で来るが私の好きな市である!かいきん橋を渡るとアーケード街があり近くに相生飯店と名の中華料理がある。店は可愛いウエイトレスと逞しい女性コックが切り盛りしていた!A先輩と私は店の雰囲気が好きで!回航で来ると必ず立寄った。私が20歳、A先輩は21歳でヤンチャ盛り!ガラの悪い名古屋市の繁華街で!深夜喧嘩相手を求め闊歩する命知らずだった。相生市は平穏な地域で喧嘩を忘れ郷愁に浸れる!街の人達も温かく!訪れるのが楽しかった!私は和歌山県の故郷に帰ったような気分だった。

相生飯店の可愛いウエイトレスに!ラブレターを渡してくれとA先輩に頼んだ!後日店に行くとウエイトレスは冷たく!女性コックが機嫌よく注文してない料理をサービスしくれた。? A先輩とウエイトレスは楽しそうに会話をしていた!A先輩もウエイトレスが好きだったのだ。笑。。A先輩は私のラブレターを女性コックに渡したのだろう!でも若い女性コックは純粋で可愛い性格だった。料理も旨い!楽しく会話を交わし名古屋の話もした!何時か機会があればデートしたいなあー!相生飯店はそんな楽しい店でしたよ。しかしその夜に大怪我を負い名古屋に帰り入院した!その後相生には暫く行けませんでした。

まさかの悪夢

まさかの悪夢が待つているとは夢にも思わなかった。私とA先輩は寿司屋の帰り無法者達に襲われた!容赦ない鉄パイプの殴打に!A先輩が血塗れになり倒された。カウンター席から!5~6人の流れ者と思われる連中が私達を睨んでいる!私は危険を感じA先輩に知らせ帰ろうとした。仕事の疲れもありA先輩は泥酔していた!私は酒に酔うと喧嘩はしない!思わぬ不覚の体験が多いからである。A先輩は日頃温和であるが酒を飲むと短気になる!連中は店の外まで追いかけてA先輩と争いになった。連中はいきなり角材や鉄パイプでA先輩の顔面を何度も殴打した!情け容赦の無い攻撃にA先輩が倒れ動かない。

喧嘩のプロ達

昭和40年代は暴力団の抗争期だった!広島県、兵庫県もその地域であり!私達は敵対組織と間違えられたかも知れない。彼らは殺す気で襲ってきた!必殺の攻撃は迅速で無駄な動作が無い!A先輩は喧嘩空手で強いが泥酔していた。深夜であり回りには人影も無かった!言い訳は無用!相手を倒す以外に助かる道は無い!謝って許してくれる相手では無かった。私は素手での死闘になった!これまでの相手とは違う!無言で不気味な笑みを浮かべている!脅し文句も無く訓練された武装集団だと感じた。

私は無数の殴打を浴びながらA先輩を庇い!修羅と化し相手を殴り倒した!相手の骨を叩き折る感触に興奮した!しかし多勢に無勢!背後から足に強烈な衝撃を感じ無念にも倒れた。殺される瞬間!パトカーのサイレンが聞こえ無法者達は去った!私は用水路跡か川に落ちたまでの記憶はあるが!その後は覚えていない。薄暗い早朝に野犬の吠え声で起こされた!何とか用水路跡から這い出ると!青く光る無数の目に遭遇した。

優しい野犬の群れに救われた命

それは狼のような野犬の群れだった!一難去って又一難だ!満身創痍で大量の出血!足の骨が折れているようだ。気力も萎えて体が動かない!野犬の牙で殺されるのも!ターザン(野蛮人)の最後らしいと観念すると笑えた。しかし野犬達の声は優しく感じ!目には敵意が無かった!山奥育ちの私には野犬達の愛情が理解できた。やがて明るくなり野犬達も姿を消した!暫くして物凄い豪雨になり用水路跡の川は濁流になった。

もし野犬達に起こされないと溺れ死ぬか!出血多量で私は死んだだろう!相生の野犬達は戦後駐留軍が!飼育していた軍用犬で帰国時に残されたらしい。再び回航で相生を訪れた夜!船室から野犬達の遠吠えを聞き感無量だった!私は哀れな野犬達の保護を願い名古屋に帰った。時代は移り何時しか消えた遠吠えを偲びながら!私は寂寥感に苛まれた!人間達の勝手で捨てられ!淘汰された野犬達に哀悼の意を捧げました。

愛知県東海市グランシェフ、オーナーシェフ 滝尻洋次談

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