料理人になったターザン。小説密林の孤児を読んで、俺は野蛮人。

料理には国語力が大切

小学4年頃まで病弱だった私は読書が好きでした、小学4年に全国作文コンクールに入賞し、放送車が来て山奥の学校は大変な騒ぎだった。当時新しい漫画本は村では買えなくて友達から借りて読んだ、父が新宮市に 買い物に出かける際、欲しい物は無いかと問われ私は少年画報(漫画本)が欲しいと頼みました。

約束の本を渡され夢中で何度も読み少年画報は私の宝物にしました、その感動を作文に書きました。先生が作文を読んで全国作文コンクールに応募したそうで私もびっくり、小学時代は成績も良く神童と騒がれたのも束の間、進学する気も無く中学生になってからは勉強した記憶が無い。

覚える気が無いので数学、英語、音楽等はさっぱり解らなかった。そんな無学な山猿が山仕事を辞め名古屋に出てから何とフランス料理のコック見習いになった。重い大鉞や大鋸を軽い包丁に持ち替えた田舎者が難しいフランス料理の修行である。過酷な肉体労働で培った体力だけの不器用な左利きは包丁使いが下手で猛練習の日々。

外人接待の睦クラブ(モンターニュー)のメニューはすべてフランス語、先輩達が仕事中に話す料理用語、調理器具名も何も解らない。ローマ字も判らない馬鹿がフランス料理用語、メニューの読み書き、調理法を覚えるまで幾年必死の努力を重ねました。

小学6年卒業までに古事記、民話物語、歴史書や文学書が好きでほとんど読んだ。万葉集、戦国時代や明治維新の偉人伝、巌窟王(モンテクリスト伯爵)の活躍に胸を躍らし、菊池寛著(恩讐の彼方に、父帰る)を読んで感動した。国語力や一般知識は難解な数学等より生活や仕事にも必要であると思う、言葉や文章の理解力が無いと思い違いから誤解を招き残念な争いの原因となる。

高度な数学等の知識は記憶、考える能力養成に大切だろうが、実際は進学や専門分野に必要なだけの科目と無学な私は実感した。いかに文明が進化しても人間は変わらず偉人達の教えを尊び学ぶ、神話、民話は大自然を敬った祖先達の信仰心であり、ことわざは長年の経験からの貴重な教訓だと私は理解します。

文明の進化は快適な生活を人類に与えたが、金儲け優先による魚介類の乱獲や大自然の破壊は止まらない。今人類は大自然の怒りによる滅亡の危機を実感している、近年相次ぐ異常気象や伝染病はその前触れでは無いかと思う。今一度祖先達の残してくれた貴重な教訓を振り返るべきだと山奥生まれのターザン(野蛮人)は考えます。

飲食業の私は地球温暖化による農作物や魚介類の減少、伝染病による家畜の減少が心配になる。このままでは将来人類は厳しい生存競争を体験するだろう、パワハラと勘違いされ本当に優しい鬼達が消えた。甘やかされた軟弱な若者や子供達を見る度にその未来に哀れさを感じる。(可愛い子には旅をさせろ)厳しい将来を考慮して逞しく育てるのが愛情と思う今日この頃でございます。

ターザン物語、密林の孤児を読んで

小学5年の時に同級生で仲良しのM子ちゃんが、洋次君(私の名前)これ面白いよと本を渡してくれた、本は密林の孤児(バルーバーの冒険)片目の金獅子の2冊で著作者は日本人のターザン物語でした。アフリカ奥地の密林に飛行機が墜落し日本人の両親が死んだ、残された幼い男子はチンパンジー達に育てられた。武器の短刀は黄金造りの鞘と柄の銘刀で、由緒ある家柄の子孫である事実を物語る。

やがて逞しい青年に成長したバルーバー(密林の王者)が密森の動物を襲う猛獣達を倒し最強の敵ライオン3兄弟と対決する。赤獅子、黒獅子の兄弟を倒し長男の金獅子と対決するが、最強の金獅子とは死闘の末に友情が芽生える。最強のコンビが森を狙う奇怪な怪獣や悪党達と死闘し森を守る物語である、夢中で読んでいるとM子ちゃんが洋次君はターザン好きなのと聞いた。M子ちゃんは優等生でお転婆だ、スポーツ万能で女ターザンのようだった、私を見て洋次君もターザンになればと笑った。

小学4年頃から少しずつ元気になった私は山や川遊びが好きで一人遊びが好きだった、ターザン物語を読んで俺はターザンになるぞと決めました。M子ちゃんは新宮市の学校に転校した、私が鬼のように元気になったのは、M子ちゃんにターザン物語を紹介して頂いた事もあるかも知れませんね。やがてターザン物語は、病弱だった少年の身体と精神を逞しく鍛えました。

少年期に憧れたアフリカには道路ができ高層ビルが立ち並ぶ、自然破壊は止まらず猛獣達の居場所も奪われた、好きだった小説(失われた世界)のアマゾン奥地も開発の為に焼かれた。相次ぐ異常気象と進化する伝染病、地球が自然淘汰を始めたかも知れない、熊野の山奥で育った私は建築物と道路で覆われ、車で汚染された大都会を見て地球の未来に不安を感じた。

ターザンに憧れた私は中学生になると春休みは山遊び、夏休みは川遊び、冬休みも山遊びに忙しく勉強する暇が無かった、母はそんな私を叱りもせず頼もしそうに見守ってくれました。父は護身用に本物の短刀を私に与え山で猪に襲われたらこれで戦えよと笑っていました。私は家近くの山中に隠れ家を造った、木の上に見張り台を造り岩穴に寝床を造る、弓矢、竹槍、パチンコ(飛び道具)の武器を用意して対猪用に備えた。漫画本、蝋燭、蚊取り線香、干し芋などの食量を備蓄して学校の休みには泊まった。

俺は野蛮人

山猟や川漁の得意な私は村人からターザン(野蛮人)と呼ばれた。春は山菜取り、夏は鮎取り、鰻取りで夏休みは朝早くから日が暮れるまで一人で川遊びだ。冬は山中に罠を仕掛け野鳥取り、秋は茸採りや木に上り木の実を取った、友達と遊ぶより一人遊びが好きだった。山の動物達は仲良くなれば可愛い、山猿達は餌を与えてもなかなか馴れないが馴れると可愛い、ずるい人間のように嘘を言わないから好きである。

百舌鳥や目白(めじろ)を飼い飼育に忙しかった、朝早く起きて目白のすり餌をつくる、小鳥は餌を忘れるとすぐに死ぬ。百舌鳥は肉食で冬の餌確保は大変である、朝早く冷たい川に入り子魚を捕まえるが吹雪舞う冬は寒かった。日々忙しくて疲れ学校では寝てばかりで勉強する暇が無い、夏休みなどの宿題は真面目にやった事が無く、先生に叱られるのは馴れている悪ガキでした。

中学校までは自転車通学で約1時間赤木川沿いを走る、自転車を置き約500メートル坂道の上に学校がある、中学の同級生は35人位少ないが熊野川町では2番目に生徒が多かったと思う。私は雨の日も雪の日も自転車通学である、冬場は細い砂利道が凍結し自転車が滑り赤木川に落ちた経験も度々ある。ストーブも無く寒い教室で震えながら服が乾くまで我慢した、馬鹿なターザン(野蛮人)は風邪も引かなかった。和歌山県は台風が多い、相当の台風が来ないと休校にはならない、学校の帰り道で川が氾濫し、山道を登り家に帰った体験もある。

ターザンの初恋はK子ちゃん

中学1年のときA先生に無茶苦茶に殴られた経験があります、A先生は熱血漢で授業中の話が面白く私は好きでした。突然私の後ろの席から欠伸が聞こえた、私は怒ったA先生と目が合い俺では無いですと弁解した。優等生のF君が欠伸をしたが卑怯にも彼は黙っていた、隣席のK子ちゃんが滝尻君(私の名前)ではありませんと庇ってくれた。

興奮したA先生は聞かなかった、それが悪ガキの宿命であり仕方が無いと諦めた、職員室に呼ばれ謝れと言われたが無視するといきなり殴られた。全然効かないよと笑うと次々と殴られた、担任のH先生が驚いてA先生を止め暴力は終わった。少し顔が腫れたが鼻血も出ていない、父の殴打に比べたら痛くも痒くも無いぜと笑いながら私は職員室を去った。

母にどうしたの顔が腫れているよと問われたが、自転車で転んだと嘘をついた、父が知れば又怒られるだけである、当時先生の暴力は当然であり現在のような事件にはならなかった。卒業式にA先生を殴ろうと決意したが、A先生は私達卒業生を見て涙を浮かべていました。私も涙を浮かべて熱血漢のA先生に目礼しました、今想えば最高の卒業式でした。

学校の帰り大雨が降った、私は学生服とズボンを脱ぎビニール袋に包み、シャツとパンツ姿になり自転車に乗ったが、運悪く女生徒達に見られた。滝尻君は野蛮人だねと笑われたが、着替えの無い学生服とズボンを大雨で濡らしたくなかった。それと夜遅くまで働く母に学生服を汚して苦労をかけたくなかった。村の女の子達は学校から帰ると家畜の世話や夕食の手伝い等をする、私も薪集めや薪割り、畑の開墾等の手伝いをした。

中学1年生の家庭訪問の際に担任のH先生が母に言ったそうだ、入学当時は成績が良かったが最近落ちています。頭の良い子と思いますから勉強するように指導してくださいと、私の成績が良いと母は辛いだろう。成績が良いと母は何としても私を進学させたいだろうが、兄弟も多く貧乏な我が家には高校に行ける余裕は無いと思った。

試験の期間中は休憩時間に皆必死で勉強している、一人外で遊んでいる私は野蛮人と呼ばれたが別に気にせず満足でした。ヤンチャをしている場面をK子ちゃんに見られた、駄目だよ滝尻君と目が語っているようで、ヤンチャ者は素直に反省しました。K子ちゃんには絶対弱かった、風邪で高熱が出ても私は学校を休まなかった、純粋なターザンでありました。

私の思い違いかも知れないが、そんな些細なことが純情だったターザン(野蛮人)の大切な思い出であります。あの野蛮人だった滝尻君が高級レストランのオーナーシェフをやっている、皆が知った時はきっと驚いただろうなあー。。あの滝尻君が、あのターザン(野蛮人)が?。。

もう20年近い昔だろうか。。中学3年間担任だったH先生の退職を祝い恩師を迎え同級会が行われた、私にも連絡がありましたが残念にも予約で忙しい5月の連休中でした。恩師にお祝いの花束と感謝の心を込めて自作の俳句を送った、H先生より心温まるお礼の便りが届き感動しました、嬉しいハガキは大切な宝物にしました。

師を迎え 集う若葉や 歌う宿  和歌山県東牟婁群熊野川町立三津野中学卒業、愛知県東海市グランシェフ。

     オーナーシェフ 滝尻洋次

 

 

 

 

ご予約・お問い合わせ

ご予約はお電話から承っております。

TEL 0562-33-6030

その他、ご質問などはお問い合わせフォームからでも
受け付けておりますので、お気軽にお問い合わせください。