料理人になったターザン、 鮎取り、大蛇伝説

鮎の引っ掛け漁

故郷は和歌山県熊野古道の麓にあり、道路沿いに流れる熊野川の支流、赤木川は天然鮎が多く釣り人も多い。
和歌山県はヤス漁や、引っ掛け漁が禁止である、中学のころ警察に連行され厳しく取り調べられた経験がある。
私は村人達にターザンと呼ばれ学校では原始人と言われた、友達と遊ぶより大自然で一人遊びが好きでした。
険しい山中を走るのは速かった、木から木に飛び移るのは得意だがスポーツはまるで駄目、不器用な原始人でした。。笑

引っ掛け漁は、1.5メートルほどの竹竿の先に引っ掛け針を仕込み、水中メガネをつけて鮎を引っ掛けて取る伝統の技です。鮎の習性を知り習練が必要で素人には無理な漁法である、密漁になるから愛知県のように網を張っては取れないから。友釣り人の来れない激流で引っ掛け漁をやる、流されて溺れる危険もあり激流で鮎を取るには強靭な体力が必要だ。6月ごろから晩秋まで鮎取りができる、赤木川激流の鮎は身が引き締まり美味しい、酢味噌で食べる生食が好きだった。

大自然で生きる術

家の前を流れる谷川の奥は密林の中にあり、鮎やヤマメの宝庫だ、危険な谷川奥には村人達も近寄らないためだろう。
谷川は川幅が狭いので赤木川の鮎より取りやすい、簡単に引っ掛けられる秘密の漁場でしたが毒蛇が多く危険でした。
猪、猿、スズメ蜂、毒蛇が棲み、狼、大蛇伝説がある、少年時代村の長老が見せてくれた大蛇の抜け殻は長く太かった。
動物達には大切な領域があり彼らの領域を侵すのは危険だ、山中で毒蛇に咬まれると手当が間に合わず死亡の場合もある

私は毒蛇が棲む場は嫌な気配を感じる、10月過ぎは特に危険だ近寄ると咬まれるが谷川の水辺には毒蛇が多い。
猿を苛めると仕返しがあるそうだ、私は猿達と仲良しだった、野生の動物は簡単に馴れないが馴れると本当に可愛いと思う。子連れの猪に遭遇すると逃げろ、撃たれた経験のある猪は身を守るために稀に人を襲うことがあると猟師の父に教えられました。

大自然で生きる術を両親に学んだ、天候の判断、薬草、蜂に刺された、毒蛇に咬まれた場合の応急処置、その他色々である。川幅の狭い谷川では、山奥で大雨が降ると鉄砲水の危険がある、木の葉などが流れて来たら高い場所に避難しろと教わった。

伝説の大蛇に遭遇した


30歳ころ、秘密の漁場に一人で行き帰りの山道で茶色の太い木を踏んだ、感触が柔らかく異様な殺気を感じて飛び退いた。太い木はゆっくり動き出した、それは大蛇の胴体だった、頭と尾が草むらに隠れていた5メートル以上はあるだろうと思いました。


大蛇は物凄い目で私を睨みつけた、背中を踏まれてびっくりしたのだろう、襲われるかも知れない。。大蛇は迫力があった。動物園などで見たニシキヘビは、3メートル程度で動かず迫力は無かったが野生の大蛇は怖い、山刀を構えたが足が震えていました。

谷口村の主神様かも知れないなと思った、大蛇は草木を押しつぶすように山を登った、魔物を見たような気がし茫然と見送った。村奥に大きな岩の祠があり酒が供えられ地主様が祀られていた、大きな木が祠を覆い昼間も薄暗く気味が悪いと思いました。

地主様の正体は


私は小学4年の時に谷口村に来たので地主様の由来は知らない、信仰は厚く毎年1月過ぎにお祭りがあったと記憶している。地主様に興味は無かったが大蛇が消えた場は地主様の裏山辺りである、地主様は大蛇かも知れないと考えたが違うかも。。?父に大蛇を見たと言ったら父も同じ場所で見たと語った、村の歴史に詳しい父に地主様の由来を聞こうと思ったが忘れました。
中学時代に兄と洞穴探検に行き、先に入った兄が大蛇を見たと私の手を引いて逃げ震えていたことを想いだしました。
赤木川沿いで十首と呼ばれた場で道路傍の岩山だった、兄が蝙蝠の目を大蛇の目と勘違いしたと私は思い信用しなかった。

暇をつくり父母の墓参りに帰郷し、谷川の奥に鮎取りに行こう、動物達には果物とお握り、大蛇様には日本酒を土産に持って。。。大蛇様に逢ったら、酒でも飲みませんかと誘い踏んだ非礼を詫び、貴方は地主様ですかとお聞きし、昔話を語り合いたい。。笑

狼伝説


狼伝説もある、父が狼は存在しているだろうと言った、猪と違う気配を感じ勇敢な猟犬達が怯えていたと、酒を飲み語っていた。牙で裂かれた猟犬の死骸が発見され山犬では無い足跡があったそうだ、88歳で他界、狼の存在を語り合った父の死は寂しい。


父は村の歴史、地名の由来、伝説、村の行事の意味、猟師の体験談など、数冊のノートに書き残していた、拝見した記憶がある。印刷し本にするつもりだったが無いと言われた、父の死後ゴミと一緒に捨てたかも?貴重な記録であり残念に思います。

落ち鮎や 哀れなるかな 掴み取り    洋次

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